2007年1月13日 (土)

『国家の品格』 藤原正彦

読みました、2006年の話題書。お正月に実家に帰ったら、あったので。

んー、でも、眉唾モノだわなぁ。やったら、日本を賛美しているし。

まー、確かに、ブシドーっていうと聞こえがいいし、情緒と形を全ての人が重んじるようになれば、いい世の中になるんだろうなぁ、っていうことは分かる。でも、今の世の中の人にそれを言ったところで、なにも変わらないんじゃないかと私は思った。悲観的すぎるのかな・・・?でも、あまりにも、「昔はよかった」っていう例の、懐古主義的な感じがしたもので・・・。

アメリカについていくだけじゃあだめなんだろうな、ってことくらい、私だって分かるけど、だからといって日本の「愛国心」をあおって、「国家の品格」を取り戻せっていわれてもねぇ・・・。そうそう、「愛国心」を、あの悪いイメージのやつじゃなくって、国の文化を愛するっていう意味に捉える、っていうとこは、すごく良い考えだと思ったわぁ。日本国内でもいえるんじゃない?都会の文化が地方に蔓延してるけど、地方独特の文化、私は好きだなぁ。

日本の多くの人が、この本をどのように捉えたのか、私は知りません。たくさんの人がこの本を読んで、それぞれに何を思ったのか、知りたいと思った。ネットとかで調べれば、いっぱい出てくるような気もするけど。

国家の品格 Book 国家の品格

著者:藤原 正彦
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (15) | トラックバック (1)

2006年12月29日 (金)

『不安な童話』 恩田陸

一体、この小説はどこに行き着こうとしているのだろうか。

「生まれ変わり」だと言われて、画家高槻倫子が殺された真相究明に駆り出される主人公、古橋万由子と一緒に私もなんだか不安になりながら、話がすすんでいった。なんだか、なぞがなぞを呼ぶ感じで、問題はどんどん込み入ってくるし、辛くなってくるし。

どんどん読みたくなってしまった。

まさか、最後の最後になって、主人公のお姉さんが出てくるとは思わなかった!たしかに、家の刃物類が全部隠されている、っていう点には違和感はあったんだけどね、忘れてたし。

恩田陸さんの作品、もっと読んでみたいなぁ。

不安な童話 Book 不安な童話

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月22日 (水)

『球形の季節』 恩田陸

この人の世界観って、すごい・・・・。“日常”の中に、確実に見え隠れする漠然とした不安や失望やなんかを、こんな形にして出してくるなんて。。

一見すると、ありえない話なんだけど、どっかでこういうのもあるのかもしれない、と思う自分がいる。退屈な日常であればあるほど、どっかで、本当はこの世界は何か大きな隠し事をしているんだろう、と感じる気持ちもわからないではない。

(まぁ、私の今の日常はそんなにも退屈じゃないケド。。。っていうか、どちらかといえば、何かに終われている感じかも。)

谷津という閉じられた土地で、起こった出来事なんだけど、日本の中にはこんな風に閉じられた土地ってまだまだ多いのではないかと思う。私はそんな土地が結構好きだったりするんだけどな。

ただもう、“もうひとつの世界”の持つ圧倒的な力と、完璧な情景(それはとても寂しい情景なんだけど、どこか優しいのかもしれない、と思った)の描写はすごいと思った。読んでいて、私もその世界に足を踏み入れてしまったような感覚になった。(授業中に読んでたんだけど、先生の声とか飛んでいったもん。)

身近な人が、“行ってしまった”ら、もうどうすることもできない、という形で物語は終わる。

下手にラストをつけず、それでも続いてゆく日常を感じさせる終わりかただと思った。

球形の季節 Book 球形の季節

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月 5日 (日)

『天の瞳』 灰谷健次郎

とりあえず幼年編Ⅰ・Ⅱ、少年編Ⅰ・Ⅱ、成長編Ⅰ・Ⅱ、あすなろ編Ⅰ まで読みました。

文庫が、そこまでしか出ていなかったので・・・。

読んでみて、すっごいなぁ、と思った。

倫ちゃんみたいな子が本当にいたら、それはそれは素晴らしい!!

でも、問題は倫ちゃんみたいな子を育てられる大人がいるかどうか、なんだろうなぁ。

ああいう風に子どもがまっすぐに育つための環境作りって、周囲の大人がどれだけステキな人がどうかってことなんかな。ここで「ステキ」って書いたのは、なにも「完璧」である必要はなく、子どもと一緒に悩むことができるかどうか、ってことのような気もする。

この子はなんでこんな行動に出るのだろう、私はどうやって関わればいいんだろうって。子どもをちゃんと一人の「他人」として尊重できるかどうかだと思う。

自分の子どもになるとそれが意外と難しいんだろうな。(私に子どもはまだいないけど。)

うちの母が、これをすすめてくれたんだけど、お母さんがその時に「私が子育てをしている時に読めたらよかったのに。」って言ってた気持ちがよく分かった。子育て感、変わるわ、そりゃ。

この話の中では、「いい大人」って、大人ぶらない大人として描かれている。下手に権威とかで「大人らしく」いようとするよりは、自分っていう人間をよく分かっていて、「大人」でいるというより、「自分らしく」ある人間のほうが魅力があるように描かれているのです。

たしかに、子どもとの関係の中で、下手に大人ヅラをするよりは、そんなん関係なく、常に自分らしいやり方で生きていける人って、すごくかっこいいしあこがれちゃうなぁ。すっごく難しいけど。

さてさて、中学生になった倫太郎や満やタケヤン、青ポン。学校を相手に、話し合う場を設けようと奮闘しているところまでお話は進んでることだし。一体どうなるんだろ。

「学校」っていう、学生にとっては絶対的な存在を、根底から問い直すその活動の行方がとても楽しみ。

天の瞳 幼年編〈1〉 Book 天の瞳 幼年編〈1〉

著者:灰谷 健次郎
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月28日 (月)

『十九、二十』 原田宗典

Book 十九、二十(はたち)

著者:原田 宗典
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

私は今、二十です。

もうすぐ、二十一になります。

んでも、私は全く持って子どもっぽいので、この主人公みたいな世界ってなかなか想像がつかんわぁ。

んでも、十九とか、二十とか、そんな時を生きているのって、なんだかそれだけでステキなんちゃう、とか思ってします。

何でもできるような、そんな錯覚と、

何にもできないという、そんな現実と。

うまくいかないことがいっぱいあるし、それでもそれをまじめに捉えられるほど大人ではないし。。。

大人にならんといけんねぇと、最近は強く強く思うのだけれど・・・。

エロ本専門の出版社で、十九から二十になる夏をすごした主人公、山崎だけど、

若者特有の、無鉄砲さと曖昧さと、それから、鋭さがあるなぁと感じたのでした。

あー、今を大事にしながら、大人になってゆけたらいいな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月18日 (金)

『月の裏側』 恩田陸

帰省から戻って、やっとネットが使えるので、さっそくたまった分を書いています。

またまた、恩田陸さんの作品。今度は短編集じゃなくって、長編のお話。

人間が消えて、数日したら何ともない顔で戻ってくる・・・そんな事件。

主人公の多聞たちはその現象を「盗まれる」と言った。そして、町中の人が「盗まれて」しまう。。

「盗まれた」人の人形が発見され、戻ってくる人はその人形が何食わぬ顔で戻ってくるのだということに気付いたときはびっくりだった。怖いなぁ・・・。

でも、「盗まれて」しまっても、戻ってくればその人たちはまったくその事実に気付かない。

それって、もっともっと怖い・・・。

もしかしたら、私も「盗まれて」しまっているのかも、なんていう思いを、読んだ人はみんな思ったんだろうな。

例えばそうだとして、でも、どうしようもない、というところに圧倒的な力を感じる。

「盗む」者は、水に関係しているもののようだし。力を持つ水っていったら、やっぱり海を想像するよなぁ。

いや、いっそ、「盗まれて」しまっていた方が楽なのかな?

なんて。。

月の裏側 Book 月の裏側

著者:恩田 陸
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『光の帝国 常野物語』 恩田陸

恩田陸さんの作品です。

やっぱり、すごく不思議な世界を作り出す人だなぁって思った。

現実に良く似た状況で起こる、現実にはありえない話。ちょっと怖い気もする話。でも、底の方には暖かいものがちゃあんと在る感じがする話。

短編集なんだけど、やっぱり本の題にもなっている、「光の帝国」とその後編的な「国道を降りて・・・」の話が良かったなぁ。

「光の帝国」は、子どもたちと一緒に常野の地で暮らすツル先生や他の優しい大人たちをほほえましく見ていただけに、そのささやかな暮らしが滅びていってしまう様子は本当につらかった・・・。だからこそ、「国道を降りて・・・」でミサキという少女が常野に戻ってきた時のツル先生の感慨が推し量れた。

恩田陸さんの作品、もうちょっと読んでみよう。

光の帝国―常野物語 Book 光の帝国―常野物語

著者:恩田 陸
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 8日 (火)

『図書室の海』 恩田陸

恩田陸さんの作品を、先輩に勧められて読んでいます。

独特の世界を描く人だなぁ、という印象。

この本は短編集だし、色んなお話に続く「前振り」みたいな話も多くあって、その本編も読んでみたいなぁと思った。

ちなみに言うと、タイトルの「図書館の海」は私が以前に読んだ「六番目の小夜子」の前振り的お話でした。図書館が大きな船みたいで、というか学校が大きな船みたいで、その外に何があるのか、分からない・・・。「海」が一体何なのか分からない・・・。という感覚は、やっぱり「六番目の小夜子」に通じるものが大いにあるなぁ、と感じます。

「ピクニックの準備」が前振りとなっている「夜のピクニック」が一番読んでみたいかな。

なんか、夜空の下って、いつもは出来ない話なんかが出来る雰囲気になるから、そこで起きる出来事って、すごく興味があるわぁ。。

もちろん、後に出た本の前振り的話が全てではないんだけどね。

喫茶店で常連のお客さんにひたすら砒素入りのお冷を出し続けることが愛情表現の方法だったウエイトレスさんの話「国境の南」なんかは、すごい迫力をもった話だと思うし。

まぁ、このように、一冊の本なのに色んな話のかけらが詰まってて、そのかけらの正体が何なのかを知りたくなっちゃうから、何だか得したような、損したような気分です。もちろん、良い意味で。

図書室の海 Book 図書室の海

著者:恩田 陸
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月25日 (火)

『絵本を抱えて 部屋のすみへ』江國 香織  

江國さんは、あらゆるものを愛することができる人なんだろうなぁって思う。

絵本に対する姿勢って、なんかその人の人となりがわかるなぁ。江國さんのように、めいっぱいの愛情でもって、絵本の中の空気や世界やなんかを愛せるなんて、すてきです!

絵本を読むのは私も好きだけど、あんまりいつも深くは考えずに、読んでいます。

まー、絵本ってそんなに深く考えるもんでもないしね。感覚で見るものなんだろうし。

でも、文字を追って、画はおまけ、みたいな読み方はしたくないよなぁ、とは思っとった。だから、絵本を読むのには実はすごく時間がかかる。贅沢な時間だなぁっておもうなぁ。

絵本をいっぱい読みたくなってしまったなぁ。

あとは、一人暮らしの私の部屋にも、ふとした時に読むことを許してくれる絵本にいてほしいなぁ、とすごく感じたのでした。

絵本を抱えて部屋のすみへ Book 絵本を抱えて部屋のすみへ

著者:江國 香織
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (5) | トラックバック (1)

2006年7月18日 (火)

『いじめの時間』 江国 香織 他

いじめをテーマにした短編集。

始めの方の話は、読んでて正直、ヘコんだ。もう、なんか、救いがなくって・・・。

お話の最後には何かまぁ、「なんとかなる」とでも言えばいいのかなぁ、その、納得のいく結末がまっているのかなぁと思って読むわけなんだけど、それがないの。

いじめが終わるでもなく、良い状況になるわけでもなく。ただあるのは、残酷な現実だけで。

でもきっと、それが「現実」なんだろう。何にでも救いを求めるのは、甘いのかもしれません。

それから、「いじめ」というと、やっぱり学校がからんでくる。閉鎖された空間。四角い箱。

そんな中で、特に、校庭の描かれ方が特徴的だったと思う。

角田光代さんの『空のクロール』でも、野中柊さんの『ドロップ!』(←このお話は、途中から主人公が物理的にバラバラになってものを感じるという、ぶっ飛んだ世界にいっちゃってて、びっくりした)でも、校庭は、学校の中にあって、光を受けている唯一の場所だった。外の世界に直接通じているからなのかもしれないなぁ。

学校という場で、いじめがなくならないのは、人間の本能が、人よりも上の立場にいたい、って思っているからなのかもしれない。私にもそういう部分を感じる時もあって、たまらなく自分が嫌になるけど、そんな気持ちが歪んで出てきた形が「いじめ」なのだろう。

なーんて、そんな風にいえるほど、私は出来た人間じゃないけどねぇ。

いじめの時間 Book いじめの時間

著者:江国 香織,角田 光代,稲葉 真弓,野中 柊,湯本 香樹実,大岡 玲,柳 美里
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)